[本当に怖かったですよー]
そうコメントしたのはある都内のオフィスに勤める30台のごく普通のOLだった、
[
自分はいつもどうり
通勤中、踏切の信号待ちをしていたら
急に男性が飛び出してきて
はねられて死んだんです。]
どうやらこの人は人気がない駅の唯一の目撃者(witness)らしい、
少年はある葬儀社のエージェント(argent)として調査しに来たらしい。
[
呪いよっ!!]
突然、一戸建ての邸に不穏な叫び声が響く
[
この家は呪われているのよっ]
そういって恐怖に震え泣き叫んでいるのは
轢死事件で死んだこの家の家主の家内だった。
[
あの踏切がおかしいのよ!]
[
終電しても夜中に鳴り響いたりするし
毎日、毎日騒音や揺れはひどいし!]
[
きっと、主人が御先祖様の土地を
鉄道会社に売っちゃったから
たたりがあるんだわ!!
ワァーーーーーーーぁぁっぁぁ!!
錯乱し泣き出しす夫人を
聞き込み調査に来た警察官が
しっかりしてくださいと慰める
どうやら本気で信じ切っているようだ。
[......................................]
たたりねぇ...
何か変だな...
そもそもなんで
終電の時間に
踏切が鳴ったりしているんだ?
夫人の家をあとにした少年はどうも不自然な発言に対してぶつぶつと考えていた。
[
あれれーっっ!?]
何だよこれーっ!
僕の愛車p-4283号が
血の深紅に染まっちゃってるじゃないかーっ。!!
踏切前で停車した電車の事件現場の前で
何故か嘆いている男がいた。
それは、
夕方5:50分に人身自己があったためでして...
少年は親切にそう説明した、
ええーっ!ウッソー!!
今日、僕真っ昼間から
この名車の勇姿を写真に収めようと
せっかく隣町の上牧駅で
待ち構えていたのにーーー!
どうやらやや痩せぎみのこの男は鉄ちゃんらしい
ご苦労に午後からずっと見張っていてくれたらしい
あれーでも、
おかしいな、何で急に
進路が変更されたんだろう?

ボクのダイヤグラムによれば
5時過ぎに出発した
この列車は高槻駅を出発して
上牧駅を通るハズなのに
なんで島本の駅を通ったんだろう...
2つに別れるルートのうち
上牧ルートを通るよう指示しておいたのに...
[!!?]
そのオタク男の呟きをきいていた少年はあることに気付き、
やがてそれは確信の笑みに変わっていった。
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[
あなたが運行を任されていた運転手さんですか。]
少年は再び駅の構内の控え室に来ていた
[
被害者の葬儀仲介人として
当時、事故を起こした電車を運転していた
あなたにお聞きします、
いいですね。]
[
は..はい...]
少しオドオドした感じで中年男性が答える
[
まずーーー
この列車運行表からですが...]
何故、あなたは当日
ダイヤを変更し
島本町へと向かったのですか?
[
そ、それはその時
仲間から、進路変更の無線通信を受けたからです。]
上牧駅は今、工事中だから
進路変更しろと、]
そしてその進路を変えた線路で
急に男性が飛び出してきて
轢いてしまったんです。]
その中年男性は訝しげになんだこの少年はと思いつつも質問に答える。
[
そうですか...]
けれどもそれは変なんですよね。調べてみたのですけれど
その日、電源工事なんて行われていません。
それに鉄道会社本部の方はへ
問い合わせてみたところ
無線連絡などその時、
していなかったということです。
いつも騒音に悩まされている
踏切周辺の住人から聞き込みしたところ
遮断機の警報も鳴っていませんでした。
[
運転手さん、そこであなたはもしや見たのではないのですか。]
上牧駅での踏切を信号無視して渡る車を
それを見てあなたは島本町に進路を変えた。
そうでしょう?
運転手さん、
[
あなたは嘘をつきましたね。]
少年は一気に自分の推理をいいつめる。
あまりのことに閉口し何も言い返せない中年男性。
[
車を横切るのが見えたあなたは
このままの進路ではブレーキが間に合わず
車ごと轢いてしまうと考えた。
当然、車を轢けば運転手は死亡し、車は大破します。
それに、電車本体や近所への被害も甚大です。
ですからこれはなんとしてでも絶対に避けたい。そうですよね。
だからあなたはそれらを観測した後に
それを恐れて変更したのではありませんか。]
さらに問い詰める少年。
[
し...しかし!!]
逡巡する中年男性、言い訳がましく焦りだす。
[
たっ...確かにわたしは
信号無視する車を見て
進路変更しましたが
人が飛び出してきてたのは偶然ですし、
無線通信があったのも事実です。
わっ...わたしに責任はありません。
なんとか言い逃れようと男性は弁解する。
[
ですが運転手さん。
あなたが意識をもって選択した結果、
この事故が起こった。
その事があなたに深層心理的な罪悪感を植え付け
嘘をつけさせてしまったんです。]
[
つまりあなたは命の選択をしたのです。]
[
そして、そのことを正直に言わずにあなたは嘘を偽りました。]
そして少年は容赦なく言い放つ。
[
この選択の重み...
その責任は肝に銘じていただきたい!]
その事件の日が暮れるころ人気のない島本町駅の夜道を木枯らしが吹き抜けるのだった。
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2,ここは寝静まった丑三つ時の島本町駅周辺の踏切

 

 

 

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