ここは寝静まった丑三つ時の島本町駅周辺の踏切
だがその様子はいつもと違い、張り巡らされた進入禁止帯に加え、除霊用の注連縄がありそこには付近の住人やら警察や野次馬が集まっていた。
[南無妙法蓮華教、ナムアミナムアミ...]
そこで槍を突き立て、熱心に念仏を唱えている坊さんが一人。
その瞬間、静りかえった夜空に耳をつんざく警報が鳴り響く。
驚き呆れ信じられないといった様子の周囲をよそに坊さんは一気に集中し瞑想を始めた。
そして坊さんは港町突然、目を見開き双頭の矢をつがえたとおもうと空高く舞い上がった。
その瞬間、なぜか赤黒い閃光が煌めき、闇夜の霧をかき消した。
やがて霧が晴れ、槍を背に抱えた坊さんが帰還してきた。
警備官の一人はおずおずと聞き出す 。
そういって彼が勝手にどんどん向かって行ったのは
高速道路沿いにそびえ立あるマンションの一室だった。
やって来てみると何事かそこは火災ベルが鳴り響き煙が充満していた。
やがて扉から苦しげにあえいで飛び出してきたのは
夕方の少年が事故現場で出会ったオタク男の鉄ちゃんではないか!
驚くのも無理はない、この坊さんは周囲の目も構わずこの男の首根っこに儀式用の鋭い槍を 突き立てたのだ。
なんの事だかわからない男
襟首を捕まれてぶんぶん振られる男はもう気絶寸前だった。
もうすぐ夜が明ける薄明かりだった早朝、
とりあえず坊さんと男は後に置いといて
証拠検査、検死に入る警察だった。